
ラクダ
DLSE
深みのある甘さが、未踏の産地への旅路を照らす。
おすすめ産地イエメン / エチオピア
性格・行動
砂漠をキャラバンとともに歩み続けるラクダに、派手さはない。だが芯の強さがあり、まだ誰も知らない豆との出会いを求めて歩を止めないその姿は、あなたの探究心そのものだ。一度目にした個性的な豆には迷わず手を伸ばす大胆さも持ち、安定よりも少し野性的で複雑な味わいに心惹かれる。多くの人が飲みやすさを求める一方で、あなたはむしろ手強い一杯に惹かれてしまう。周りが敬遠するような癖の強い豆こそ、自分の足で確かめてみたいと思うたちでもある。その探究心は、イエメン産の豆が持つ、ワインのような甘さと野性味に通じている。誰かに評価される前に、まず自分の舌で判断を下したいという気持ちが強い。
コーヒーの好み
心を動かすのは、イエメンに代表される、レーズンやワインを思わせる濃厚な甘さと、乾燥ナチュラル特有の野性的な発酵香だ。すっきりとした軽さの中に、複雑で深みのある甘さが潜んでいるコーヒーを好み、単調な甘さよりも少し複雑で予測できない味の展開に惹かれる。中深煎りで、フレンチプレスや金属フィルターのようにオイル分や質感をしっかり感じられる抽出方法と相性がよく、口の中に広がる野性的な余韻を楽しむ。抽出のたびに違う表情を見せる豆にこそ、飽きのこない魅力を感じている。同じ豆でも淹れる人によって印象が変わることを、身をもって知っている。一杯の中で香りが何度も変化していく様子を、最後まで見届けたくなる。
- 苦味・深煎り派
- ライトボディ
- 甘やか
- 探索派
楽しみ方のヒント
イエメンのモカとエチオピアのナチュラル精製を飲み比べることから始めたい。どちらもワインやスパイスの複雑な甘さを持つが、イエメンの古典的な深みとエチオピアの花のような華やかさという異なる表情がある。浅めの焙煎で産地の個性を引き出し、手挽きミルで粒度を微調整しながら、未知のフレーバーの扉をひとつずつ開いていくのが楽しい。
おすすめ産地について
イエメン
イエメンのコーヒーは、アラビア半島南西部、モカ港近郊の山岳地帯で数百年にわたり受け継がれてきた古代からの段々畑(テラス)で栽培されている。標高1,500mから2,400mに及ぶ乾燥した山岳地形は、灌漑用水が乏しく降雨も限られるため、コーヒーの木は厳しい環境の中でゆっくりと育つ。多くの木は樹齢数十年から百年を超えるものもあり、近代的な栽培管理とは無縁の、極めて原始的で伝統的な農法が今も守られている。モカという地名はかつて世界に輸出された港の名に由来し、コーヒー史そのものを体現する産地だ。
精製は天日による伝統的なナチュラル(乾式)が中心で、限られた水資源を使わずに済むこの方式が、厳しい環境条件と結びついて発展してきた。カップの特徴は非常に濃厚なワインのような発酵香とドライフルーツを思わせる甘み、そして野性的で強烈な個性だ。均一性よりも荒々しい力強さが持ち味であり、政治的・経済的に生産が不安定な中でも、唯一無二の風味を求める愛好家から高く評価され続けている。
エチオピア
エチオピアはコーヒーの起源の地として知られ、南部のイルガチェフェ、シダモ、グジといった地域が高地の森林地帯に位置している。標高1,700mから2,200mを超える高原は、赤道に近いながらも冷涼な気候を保ち、多くの農家がフォレストコーヒーやガーデンコーヒーと呼ばれる、野生種に近い在来品種を自家の庭先や森の中で自然に近い形で育てている。均一化された近代農法よりも、多様な遺伝資源が入り混じった生物多様性の豊かさが、この地の最大の特徴となっている。
精製方法はナチュラル(乾式)とウォッシュド(水洗式)の両方が伝統的に用いられ、それぞれ全く異なる個性を引き出す。ナチュラルはベリー系の濃厚な果実味とワインのような発酵香が際立ち、ウォッシュドはジャスミンやベルガモットを思わせる華やかなフローラルさと、繊細で透明感のある柑橘の酸味が特徴的だ。世界のコーヒーの原種が持つ多様性そのものを味わえる、唯一無二の産地といえる。